藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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TOP > 臍帯血でがん治療ですか ???

2017年07月01日

  

がん

2017.7.1.

 

臍帯血を利用する

再生医療としての

がん治療について
聞かれるのですが

 

それは何かの間違いでしょう

 

とお答えしています。
何の関係もないですね。

(すみません、白血病治療などに用いられる

骨髄移植等は全く別物として除外しています)

 

がんを治療するなら
成熟した、がんを傷害する免疫細胞
つまり、NK細胞を、人体から採取して
用いるのが基本です。

 

それも数リットルの血液から集めないと
十分な数が揃いません。

 

臍帯血では、血液の量にしろ
細胞の数にしろ、たかがしれています。

 

そもそも、本人の臍帯血となると
では、50歳の人だとすれば
50年前から、保管していたのですか、、、?
ということですね。

 

全く、現実味がある話に聞こえません。

 

他人の臍帯血から特定の細胞を培養して

再生医療を行うとなると
今度は、第一種再生医療に該当しますので
事実上の事前承認を取る必要があります。

最後の手続きが届出なのですが

実態は承認に相当する手続きを踏んだ上での

届出提出という微妙な技が用いられています。

 

本人の細胞であれば、加工度を高くしない限り
第三種再生医療と言うことで、基本的に
安全性が高いから、という理由で
届出が受理されれば、実施できます。

 

再生医療新法ができたこと自体はいいのですが
名称は気に入りません。

 

細胞医療新法とすべきですね。

 

免疫細胞療法は、法律上は、再生医療という
カテゴリーの中に、「放り込まれた」のですが
どう考えても、再生医療ではありません。

 

がん細胞を殺す

 

これが、がん免疫細胞療法の目的です。
腫瘍を再生していたのでは話になりません。

 

いわゆる再生医療というのは
文字通り、組織を再生する
組織の機能を再生する、というもので
体外で組織をつくってから
移植するやり方もあれば
幹細胞を体内に投与して
体内で、組織再生を誘導する
というものもあります。

 

承認取得したハートシートは
体外で、細胞が膜状に並んだ
「シート」をつくり、これを
手術によって、心臓にはりつけるのですが
どうやら、細胞シートが傷ついた心臓の
一部に化けるのではなく、細胞シートの
細胞集団が、元々の心臓組織の再生を
促すことで、心臓の機能が回復する
ということのようです。

 

臍帯血の中には、幹細胞もいますから
これを投与すると、何か、体内で
「再生」が起こることを期待するのでしょう。

 

実際のところどうか、というと

 

わかりません

 

たとえば、体内の組織が損傷した場合
骨髄から幹細胞が血液中に移行し
損傷部位に集積し、自ら損傷している
組織の細胞に分化し、損傷を修復する
という現象は知られています。

 

もっと、分化が進んでいる
脂肪幹細胞を脂肪吸引で採取し
ほとんど加工せずに、濃縮だけして
乳がん摘出後の、「空隙」に投入すると
乳房の再建につながる、
というものが実用化されています。

 

脂肪幹細胞で、乳房の組織再建ですから
まあ、理に適ってはいます。

 

脂肪幹細胞で、神経組織を再建し
機能障害を回復する、という話をききますが
脂肪幹細胞が、神経になるの ???
というところは、よくわかりません。

 

臍帯血中の細胞を、やみくもに
体に投与して、何が起こるのか。

 

それは、わからない、ですね。

 

ましてや、本人の臍帯血を利用するとなると
これはもう、とんでもない時間、保管し続けた
ということになるわけで、そんなことを
わざわざやるのかという疑問があります。

 

細胞の保管にはコストがかかります。

 

いつの将来、何の役に立つか
わからない細胞の保管費を払うぐらいなら、
私だったら、そのお金で
美味しいものを食べて
健康に生きる方がいいです。

 

他人の臍帯血を使うというなら
これは、法令上の制約もありますが
そもそも、よほどの治療の意味が
なければ、やるべきではありません。

 

ANK療法でも、他人のNK細胞を
使う方が、様々な面で、「いい」と
考えられますが、法規制によって
他人の細胞を使うと、第一種に該当し
事前承認というルールができる前から
他人の細胞を実際に使ったことは
一度もありません。

 

医療ですから、「新しい」ことを
やるには、慎重の上にも慎重、
安全性の確認のステップを踏みながら
というのがセオリーです。

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